2025/10/23 16:34

──筋肉は「見た目」ではなく「血管を支える臓器」です。

 

40〜60歳代は、血管の老化が静かに始まる年代です。動脈硬化、心不全、生活習慣病――その根底には「筋肉の衰え」があります。筋肉は単なる運動器ではなく、血流と代謝を司る“内分泌臓器”です。筋収縮によって血管がポンプのように押し流され、一酸化窒素(NO)が分泌されることで血管のしなやかさが保たれます。実際、筋量の多い人ほど高血圧・糖尿病・脂質異常症の発症率が低いことがわかっています。

 

特に下半身の筋力は重要です。スクワットやカーフレイズなどのレジスタンス運動は、下肢筋群(“第2の心臓”)を刺激し、血液循環を改善します。定期的な筋トレにより、安静時血圧が平均5〜8mmHg低下し、心血管イベントのリスクも減ることが報告されています。心不全患者でも運動療法によって筋肉量と運動耐容能が改善し、生活の質(QOL)が上がります。

 

そして「動かす」と同時に「摂る」ことも大切です。筋合成を高めるには、1食あたり25〜30gのたんぱく質とロイシン2.5g前後が理想。なかでもホエイ(乳清)たんぱくは吸収が速く、運動後の筋合成促進や脂質改善(LDL・中性脂肪の低下)にも効果が示されています。植物性たんぱくを土台に、ホエイで補う――この“ハイブリッド栄養”が、血管を守る最短ルートです。

 

動脈硬化を防ぎ、血圧を安定させ、心臓を守る。筋肉は、最も身近な「循環器の味方」です。
今日の一歩、今日のスクワットが、10年後の血管をしなやかにします。

 

LEX代表医師
総合内科専門医/循環器専門医
土肥 智貴